2008年5月18日日曜日

音楽のもつ治癒力

17日、ランディ・ウェストンのドキュメンタリーDVDの上映会をルームマーケットで行った。

40分間のドキュメンタリー映像で、ランディ氏が話す言葉をコンサートスタッフである山田君が和訳してくれた。字幕の付いていないこんなDVDは、彼の様な人がいないと英語力の無い私などはチンプンカンプンでとうてい理解できない。まずは山田君に感謝する。

衣食住は人間が生きていく上で最も大切なモノとされている。もしその次にと聞かれれば、それは音楽なのかも知れない。音楽は衣食住ほど直接的に人に働きかけないモノの様に思われがちだが、例えば最悪の状況で生きる希望を失くし掛けた時に音楽は勇気と希望を思い出させてくれる。音楽にはそんな治癒力があるのだ。かつてアメリカで黒人奴隷が過酷な労働をブルースを歌いながら乗り越え、理不尽な人種差別を受けながらも多くの素晴らしいジャズが生まれた様にランディ氏には確信を持って言える事があるのだ。音楽には人々に勇気と希望と安らぎを与える治癒力があると。そして今その事を彼は彼の音楽を通して伝道していく使命を感じていると言う。

このDVDはランディ氏の生い立ちから始まる。彼の父が言った言葉「お前はアメリカ生まれのアフリカ人なのだ」と言う事、最初にピアノを習った先生から「金の無駄使いだからピアノは止めた方が良い」と言われた事、コールマン・ホーキンスのレコードを通して多くのミュージシャンを知っていった事、カウント・ベーシー、ナット・キング・コール、アート・テイタム、セロニアス・モンク、デューク・エリントンなどのピアニストに影響を受け、又あまりにも身近にそれらの偉大なピアニストがいた為に29歳になるまでプロデビューが出来なかった事、そして彼の関心は祖国アフリカへと続く。

1961年にアフリカに渡り、3年間のクラブ経営と演奏、そしてモロッコでの大フェスティバルと多額の負債、又その後のアルバム「ブルーモーゼス」の大ヒットで負債が無くなりはしたものの一文無しとなってしまった事。その状況にあっても彼がアフリカで得たものは偉大であり彼の音楽や生活全てにおいてお金には代えられない貴重な体験がアフリカにはあったと。

美しい音楽、これは演奏がうまいとか下手という事ではなく、人々をどれ程幸せにするかという事なのだ。これは魂がどれ程こめられているかとも言えるのだろう。

ランディ・ウェストン 彼の奏でるピアノはそんな魂のこもった美しい音楽である。世界遺産の上賀茂神社で最高の演奏を聴ける日が待ち遠しい。

2008年5月9日金曜日

余呉湖と三橋節子さん

私が小学校5年の時の事、画家の三橋節子さんが癌で亡くなられ、滋賀の自宅にお線香を上げさせてもらいに母に連れられ行った事がある。

母と三橋節子さんは鴨沂高校バトミントン部の先輩後輩の関係で、亡くなられた時はまだ30歳代だったのではないだろうか。幼い子供を残しての無念の死だったと思う。そんな縁で彼女の展覧会には幾度と無く出向き、いつしかその画風が大好きになった。

先日ゴールデンウェーク最終日の5月6日に余呉湖に皆でサイクリングに行ってきた。
快晴のサイクリング日和。琵琶湖湖北は野鳥の宝庫でその鳴き声を聞きながら自転車を走らす。余呉川の川辺に咲く草花が可愛らしく風に揺れる。
余呉湖と言えば古戦場として名高い賤ガ岳だが、私にとってこの辺りの風景はまさしく三橋節子の絵画だ。絵の中にすっぽり飛び込んでしまった様な気持ちになる。

ウッディーパル余呉と言う町営のロッジを借りてバーベキューに舌鼓。子供も大人も大はしゃぎの一日だった。

志を持ち、自身の信念を貫いた人生は人に感動を与えるのか、あれから30年以上の月日が経った今でも私はサイクリングの度に三橋節子さんに出会った気持ちになれるのだ。